『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』AI,クラウド,5Gをもれなく理解したい方へ

本書は、AI、5G、クラウドといったこれから理解必須のテクノロジー技術に関して、著者自身のグローバルな経験から、一般読者にわかりやすく解説した本である。

 

データを大量・高速に送受信する5G、データを保存・処理するクラウド、そしてデータをもとに判断を行うAI・・・・・・3つが組み合わさるトライアングルになることで、それぞれのメガテクノロジーは最大の効果を発揮できる

 

5G、クラウド、AIによる相乗効果、このトライアングルこそ本書の核となる主張である。

優れたAIは「良質なアルゴリズム」だけではなくデータの量や質との掛け算によって生まれる。

世界をリードするには「優れたAI」の開発を支える5Gやクラウドのインフラ環境の整備が重要だ。

その点に早くから気づき、巨額の投資を惜しまなかった企業が今後も世界の覇権を握るだろう。

本書によれば、その企業とはかつてのGAFAに2社を加えたFAANG+M(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグル、マイクロソフト)であり、

彼らを猛追しつつある中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)であるという。

「自動運転」「スマートフォーム」「ドローン・ロボティクス」といった、次代の主力となる業界・企業群などは、ほぼ全て先ほどのトライアングルの力によって生まれるだろう。

 

著者は、ハーバード大学院理学博士+元グーグル+京大特任准教授といったこれでもかと煌びやかな経歴が並ぶ、若干38歳のベンチャー投資家である。

本書は、著者の半生を辿りつつ、テクノロジーの歴史を俯瞰していく。

基幹テクノロジーの進化と銘打った第2章では、半導体、インターネット、人工知能の3つのテクノロジーの歴史を紐解く。

半導体の進化は、米インテルの共同創業者の一人ゴードン・ムーアが論じた、半導体の性能は18ヶ月ごとに2倍となり指数関数的に増えていくと謳った「ムーアの法則」が有名だ。

事実、半導体の目覚ましい進化により、大型かつ業務用のみで使用されていたコンピュータは今やポケットで持ち運べるまでとなった。

この半導体の進化は、クラウドが登場した今となってはデバイスの小型化が必要となくなり、新たなステージに突入したといってもいいだろう。

そして、人工知能の発展もいうまでもない。

本章でも一番ページを割いている部分でもあり、すでにAIについてある程度の知識を有する読者でも一読の価値は大いにある。

詳細はぜひ本書を読んでいただければと思う。

 

著者がテクノロジーを学ぶことが重要だと気づくきっかけとなったのは、グーグルという最先端のテクノロジー企業に身を置いたことが大きく影響している。

著者は、グーグルに在籍していた際、現在でも人気が続いている『ポケモンGO』の誕生の瞬間に遭遇したという。

ポケモンGO』が誕生した発端は、グーグル社内においてGoogle マップを担当するプロジェクトチームによる単なる遊び心から始まった。

それが、グーグルのオフィスが入っていた六本木のオフィスにたまたま株式会社ポケモンが入居していたご縁で実現したのだという。

大人気キャラクターと位置情報技術という単純な掛け合わせが、大ヒットゲームを生み出した。

この光景を目の当たりした著者は、テクノロジーの凄さやその影響力の大きさを実感したという。

 

本書には、テクノロジーによって世界がどうなっていくかが書かれている。

無論、私たちの生活にも密接している内容だ。

そして、私たちを取り巻く環境において今までとこれからで一番異なるのは、ただ単にテクノロジーを利用している側で居続けることが今後は非常に危険だということだ。

自分が使っているテクノロジーがどのようなものなのか私たちは理解をしておかなければならない。

そのためにも本書を読むことから始めてもいいだろう。

なぜなら、本書には著者が自らの地肉として培ってきた本物の知識が書かれているからだ。