日本の賃金体系が起こす残業依存?!

面白い本があったので一部抜粋します。

その名も『残業学』という本です。立教大学経営学部の教授と人材会社のパーソル総合研究所との共著です。

本書の中で、私たち日本人がなぜこんなにも残業体質から解放されないのか、面白い説が語られていました。

 

皆さんの会社の周りでも、「上の評価が気にいらない」と言った言葉をぼやく同僚いません?

日本の会社の評価体制って米国とかとは違って、成果や職務内容で評価されるのではなくて、会社に長くいることや社内や業界のことにどれだけ精通しているかで評価されることが一般的です。

そして、評価によって賃金体系も当然変わってきますね。これから説明しますが、賃金体系には、ざっくり言って「職務給」と「職能給」の2つがあります。

 

本書では、実はこの日本的な評価体制、賃金体系が従業員の残業依存を引き起こしているというのです。

 

まず職務給とは、アメリカを中心に取り入れられてきた成果主義の賃金制度で、成果と職務内容によって計算される給与体系のことです。メリットは若手でも成果を出せば、評価され収入増を目指せたり、またなんといっても評価された側がわかりやすく納得感がありますよね。一方、デメリットととしては、賃金制度の運用コストや、柔軟な配置換えが難しくなることが挙げられます。要は、評価する側が大変なんです。

 

そして、職能給とは、日本において長らく取り入れられてきた賃金制度で、従業員がどのようなスキルや能力を持っているかで計算する給与体系です。職能とは職務の遂行能力のことを指します。

だけど、この職務の遂行能力を客観的に評価することが容易ではないのです。

この特性が、会社にどのくらい勤続しているかや社内や業界のことにどれだけ精通しているかという軸で評価する、評価軸の曖昧さに繋がり、実際にどのような成果を出しているか、どのような能力やスキルを持っているかに関係なく賃金が支払われているということを引き起こしています。

 

そして、本書によれば、この評価の曖昧さが人を残業に駆り立てると言っています。

 

 職能給に対する不信感を理解した上で、「残業代」が持つ性格に注目してみます。

 サービス残業の問題がクリアになっている企業であれば、残業代は会社に申請すればきちんと支払われます。曖昧な上司の査定よりも、「働いた時間」という客観的かつ明確な基準で、しかも「翌月、翌々月」といった短期間で手に入る給与です。働く側にとってこれほど公平感、透明性の高い賃金はありません。要するに働いた分だけもらえるからです。

 

なんだかよくわからないかたちで支払われている職能給とは違い、残業代というのは、いわば頑張った分だけ支払われる成果報酬です。日本人が残業に依存しているのは、根本としての評価や賃金体系に問題があるからなのです。

 

そして、この傾向は上司の評価・指示が曖昧であったり、上司が粘り強く頑張っている人を評価しがちであると顕著になるみたいです。

 

なるほどねえ。

この本には他にも、日本の会社は、残業する習慣を組織学習しているなんていう話があったり、とにかく目から鱗な面白い話の宝庫です。

皆さんもぜひ!!